企業では、自社の状況を把握し、改善するために、さまざまな調査を行います。しかし、調査結果だけでは、実際の改善策を見つけるのは難しいことがあります。そのため、調査結果を分析し、改善策を見つけ出す必要があります。また、調査結果を得てもそれをどう活用すればいいかわからないケースもありえます。こうした課題に対処する方法の一つが、「サーベイフィードバック」という手法です。この記事では、サーベイフィードバックを行う際のステップと注意点を紹介します。

サーベイフィードバックとは?

サーベイフィードバックとは、組織内で行った調査や測定の結果を、関係部署や対象者に伝えるプロセスです。通常、単に結果を共有するだけでなく、問題があればそれを改善するためのアクションを含みます。

社内調査の種類

社内の調査にはいくつかの種類があります。以下は主要な種類です。

  1. 組織サーベイ:職場の環境や従業員の満足度について調査します。従業員の意見を集める従業員満足度調査が代表的です。
  2. エンゲージメントサーベイ:従業員が自社にどれだけの愛着を感じているかや、組織に対する思い入れを評価します。
  3. モラールサーベイ:従業員の士気、意欲、および問題意識に焦点を当てた調査です。
  4. モチベーションサーベイ:従業員のやる気や動機づけについて調査します。

これらのサーベイの具体的な内容は異なりますが、共通点は組織の現状を理解し、改善策を見つけることです。従業員の不満や要望を明らかにすることで、業務改善や新しい施策を立案します。

ただし、サーベイ結果を実際の改革に活かすのは容易ではない場合もあります。そのため、サーベイ結果を従業員にフィードバックすることで、調査をより効果的に活用しようとするのが「サーベイフィードバック」の目的です。

サーベイフィードバックが注目される背景

サーベイフィードバックが注目される背景とポイントについて詳しく説明します。

  1. ITテクノロジーの進化: ITテクノロジーの進化により、データの収集、分析、可視化が容易になりました。これにより、組織は効率的に調査を実施し、データを活用できるようになりました。
  2. テレワークの普及:テレワークの普及により、従業員とのコミュニケーション不足や関係の希薄化が顕在化しました。サーベイフィードバックは、物理的な距離を埋め、従業員の声を集めるための重要な手段となっています。
  3. 企業の人事部門の多忙化:人事部門は多くの課題に直面しており、組織全体の改善策を策定するためには、現場の従業員と協力する必要があります。サーベイフィードバックはその手法のひとつになり得ます。
  4. 企業の人事領域の高度化:近年、人事部門は従来の業務領域以外にも、組織の健康経営や人的資本経営など、より高度な経営との連動が求められ始めています。サーベイフィードバックは、経営戦略に連動させる手段として価値が高まっています。

サーベイフィードバックの効果

サーベイフィードバックによって得られる効果については、主に以下の点が挙げられます。

  1. 社内の共感醸成:サーベイフィードバックにより、サーベイ結果がわかりやすく共有されるため、組織の現状を理解しやすくなり、共感が生まれます。
  2. 従業員一人ひとりの意識改善:サーベイフィードバックは、従業員が組織の課題に対して自分自身を改善し、アクションを起こす意識を高めるのに役立ちます。
  3. 組織の活性化:サーベイフィードバックは、議論の場を提供し、従業員の声を聞く機会を提供します。これにより、組織がより活気づき、柔軟性が増します。
  4. 組織や従業員自身の強みの発見:サーベイ結果からは、組織や個人の強みが見つかることがあります。これにより、従業員の自信と組織への愛着が向上します。
  5. 継続的サーベイへの好影響:サーベイフィードバックによって、従業員は自分たちの声が組織の改善に役立つことを実感し、次回のサーベイに積極的に参加しようとする動機づけが高まります。

サーベイフィードバックは、組織と従業員の双方にとって有益なプロセスであり、組織の持続的な成長と満足度向上に寄与します。

サーベイフィードバック実施のポイント

最後に、サーベイフィードバックを実施する際のステップと注意点について、要点をまとめてご紹介します。

サーベイフィードバックのステップ

  1. 結果の分析:まず、サーベイ結果を詳細に分析しましょう。どの領域で問題があるか、優れた点は何かを特定します。結果を具体的に理解することが重要です。
  2. 従業員への共有:サーベイ結果を従業員にわかりやすく共有します。透明性とオープンなコミュニケーションが鍵です。報告書やプレゼンテーションを使用して、データを視覚的に示し、重要なポイントを強調します。
  3. 対話と意見交換:サーベイ結果に対する従業員のフィードバックを受け入れましょう。彼らの意見や感想を尊重し、問題点や改善の提案を受け入れます。従業員が自分の声が聞かれると感じることが重要です。
  4. 改善策の共同探求:従業員と共に、問題解決と改善策のアイデアを探ります。従業員のアイデアや提案を取り入れ、具体的なアクションプランを策定します。
  5. アクションプランの実施:策定したアクションプランを実施し、改善を進めます。進捗状況を定期的にフォローアップし、成果を従業員にフィードバックします。

サーベイフィードバックの注意点

  1. 透明性と誠実さ:サーベイ結果を共有する際に透明性と誠実さを保ちましょう。結果を歪めたり、隠したりしないように注意し、従業員に対して誠実でオープンなコミュニケーションを心がけます。
  2. 聞き手になる:従業員のフィードバックを受け入れる際に、聞き手になりましょう。感情や意見を尊重し、非難や攻撃的な態度を避けます。
  3. アクションプランの進捗管理:策定したアクションプランを着実に実行し、進捗を定期的に追跡しましょう。従業員に改善の進捗状況を伝え、彼らが結果を実感できるようにします。
  4. 長期的な視点:サーベイフィードバックは一時的な取り組みではなく、長期的なプロセスとして捉えましょう。改善は継続的な取り組みが必要です。
  5. 多様なフィードバック手法の採用:サーベイフィードバックを受ける方法として、面談、アンケート、ワークショップなど、多様な手法を組み合わせることが有効です。従業員の異なるニーズに対応しましょう。

サーベイフィードバックは組織の改善に向けた重要なプロセスであり、従業員の参加と協力が不可欠です。オープンで建設的なコミュニケーションを通じて、組織全体の満足度と効率性を向上させる手助けとなります。

プロジェクトの状況を知る社内調査方法とは?

これまで主に組織全体に対して行う調査やサーベイフィードバックについて紹介してきましたが、システム開発会社のように従業員の大半が何らかのプロジェクトにアサインされて行う業務が多い場合、全従業員を対象とした調査よりもプロジェクトごとの調査の方が重要かもしれません。

調査によってプロジェクトメンバーの本音を知り、もしプロジェクトに不満を持つメンバーがいれば「プロジェクト全体に影響する問題」になってしまう前に対策をとることができれば、プロジェクトの炎上防止に非常に有効なためです。

プロジェクトメンバーの意見を定期的に調べ、プロジェクトの状態を把握するには、「PJ Insight」の活用がおすすめです。

PJ Insightは、毎週1回、メンバーに対して、プロジェクトの品質、納期、コストやコミュニケーションなどの項目について、5段階評価で回答するアンケートを実施します。その収集結果を時系列データにして、プロジェクトの状況や炎上の兆候を可視化します。

PJ Insightを用いてプロジェクトの状況をこまめに調査し、サーベイフィードバックのやり方としてご説明した「1.結果の分析、2.メンバーへの共有、3.対話と意見交換、4.改善策の共同探、5.アクションプランの実施」というステップを繰り返し行うことができれば、プロジェクト推進に多くのメリットが得られます。 無料で使えるフリープランもご用意していますので、ぜひこの機会にPJ Insightをお試しください。