プロジェクトを成功に導く上で、スケジュールやタスクの進捗だけでなく、チームの状況やメンバーが感じている課題といった「定性的な情報」を把握することの重要性が増しています。「現場の空気感」や「メンバーの本音」には、プロジェクトの成否を左右するリスクの予兆が隠れていることも少なくありません。

こうした背景から、「まずは手軽に始められる方法で」と、Googleフォームでアンケートを作成し、ExcelやGoogle Sheetsで集計・分析する、いわゆる「DIY(手作り)」でプロジェクト状況の定点観測を試みるPMOやプロジェクトマネージャーの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

本記事では、これからGoogleフォームなどを活用したプロジェクト状況把握を検討している方、あるいは既に始めてその運用に課題を感じている方に向けて、 DIY運用の具体的な課題と、専用ツールPJ Insightによる解決策を解説します。

GoogleフォームとExcelによる「手作り」状況把握:その現実

一般的に、DIYでプロジェクト状況を把握しようとすると、以下のような運用フローになることが多いでしょう。

  1. アンケート作成 (Googleフォーム等)
  2. 配布・回答依頼 (メール、チャット等)
  3. リマインド・回収確認
  4. データ集計 (スプレッドシートへの転記、関数・ピボット等での集計)
  5. 可視化・分析 (Excel等でのグラフ作成、手動での傾向比較)
  6. ステークホルダーへの報告(報告資料作成)

一見、低コストで実現できそうに見えますが、このプロセスには、特に複数プロジェクトを並行して管理するPMOにとっては、看過できない課題がいくつも存在します。

手作り運用の限界:なぜPMOは疲弊するのか?

  • (課題1) 膨大な運用・集計工数: 複数PJ×毎週(または隔週)のフォーム作成・修正、配布、リマインド、回収確認、データ転記・集計…。この繰り返し作業は、担当者の貴重な時間を奪い、本来注力すべき分析や改善活動を圧迫します。
  • (課題2) 分析の難しさと限界: 手作業による集計ミス。自由記述コメントの分析困難。時系列でのトレンド分析の複雑さ。プロジェクト横断での比較・分析はさらに困難を極めます。
  • (課題3) リアルタイム性の欠如: 回収・集計後にしか状況が見えず、問題の兆候発見が遅れるリスクがあります。
  • (課題4) 属人化と形骸化: 特定の担当者に依存し、その人が不在になると運用がストップ。また、手間がかかるため形骸化しやすい傾向があります。
  • (課題5) スケーラビリティの問題: プロジェクト数やメンバー増に伴い、運用負荷が指数関数的に増大し、いずれ破綻する可能性が高いです。

このように、手作業や口頭ベースでの状況把握には多くの限界が伴います。実は、私たちPJ Insight開発の背景にも、以前のプロジェクト状況把握方法への課題認識がありました。

以前は会社の朝礼などの場でメンバーに直接「今、参画しているプロジェクトに課題や懸念はありますか?」といった簡易的な確認を行っていました。そして、課題がありそうなメンバーには、その場で「どのプロジェクトで、どのような課題があるのか」をヒアリングする、という形をとっていたのです。

しかし、組織が成長しメンバーが増えるにつれて、この方法では朝礼の時間が長くなり、全員から効率的に情報を集めることが難しくなっていきました。 さらに大きな問題は、集めた情報が個人に紐づいてしまい、「どのプロジェクトで」「どのような課題が」「時系列でどう変化しているのか」といった情報を、組織として体系的に管理・追跡することができなかった点です。これでは、特定のプロジェクトのリスクを早期に発見したり、組織全体として傾向を分析したりすることが困難でした。

『もっと効率的に、プロジェクト主体で状況を正確に把握し、リスクの予兆を継続的に管理できる仕組みが必要だ』。この切実な課題認識こそが、現在のアンケート型プロジェクト支援ツール『PJ Insight』開発の原点です。

課題への対応とPJ Insightの誕生

このような課題認識に基づき、私たちはプロジェクト状況把握における本質的なニーズを再定義しました。それは、情報収集の自動化と、得られたデータの効率的な分析・可視化です。PJ Insightは、これらのニーズに応えるべく設計され、手作業による限界を解消し、より実用的なインサイトを提供することを目指しています

PJ Insightが「手作り運用」の限界をどう解決するか

まず、気になるのは「どれだけ楽になるのか?」という点ではないでしょうか。
PJ Insightを導入することで、これまで多くの時間を費やしていた定性分析の作業が劇的に効率化されます。
例えば、10人が参加するプロジェクトで週次の状況確認を行う場合、従来の手作業と比較して毎月あたり約3時間、年間にすれば約39時間もの作業時間削減が見込めます。1PMOやリーダーはこの時間を、より戦略的な分析、改善策の検討、あるいはチームメンバーとのコミュニケーションといった、プロジェクトの成功に不可欠な業務にあてることができるようになります。

そして、PJ Insightは時間的なメリットだけでなく、分析の質やプロジェクト管理の高度化にも貢献します。具体的には以下の点で手作り運用の限界を解決します。

(1) 直感的な分析

蓄積された回答データから、プロジェクト状況の推移を時系列トレンドグラフで自動表示します。さらに、「リスクの予兆」を検知し、アラートを出す機能もあります。手作業では困難だった傾向把握や変化の察知が容易になります。

(2) リアルタイムな可視化

常にダッシュボードで最新の回答状況を即時把握できます。問題の早期発見・早期対応を支援します。

(3) 標準化と継続性

ツールによる仕組み化で、属人化を防ぎ、継続的なモニタリングを実現します。

(4) PMO向けポートフォリオ管理

複数プロジェクトの状況を一覧比較・分析できるダッシュボードを提供。組織全体の状況把握が効率化されます。

(5) PMコメントによる情報圧縮

各プロジェクトの結果に担当PMがコメントを追記可能。PMOは全ての回答に目を通さずとも、PMの一次分析や着眼点を確認でき、効率的に重要情報を把握できます。

まとめ:プロジェクトの健全性管理、そろそろ「仕組み化」しませんか?

GoogleフォームとExcelを使った手作りのプロジェクト状況把握は、手軽に見えても多くの限界があります。特に複数プロジェクトを管理する立場では、運用負荷、分析の限界、リアルタイム性の欠如が大きな障壁となりえます。

PJ Insightは、これらの課題を解決し、効率化はもちろん、手作業では見えなかったリスクの予兆を捉えることを支援します。仕組み化によって生まれた時間と質の高いインサイトを、より本質的なプロジェクト成功支援や組織改善に活用しませんか?

  • PJ Insightでプロジェクト管理がどう変わるか、機能詳細をご確認ください。

  1. 10人規模のプロジェクトを想定。Googleフォーム等を用いた従来のアンケート作成、配布、集計、資料作成といった一連の手作業を毎週行った場合との比較試算です。 ↩︎