進捗遅延を取り戻すには
システム開発のプロジェクトにおいて必ず行われている進捗報告。おそらく毎週行われていると思います。
そして進捗遅れを報告すると、お客様から強く「いつリカバリーできるのか?」「リカバリープランを出してください」と叱責を受けます。リカバリープランといっても基本的には現場の稼働を増やすしかないわけで、人を新たにアサインする、現有メンバーに時間外や休日出勤をしてもらうくらいしか手段はありませんし、それらができているならすでに報告の前にやっているでしょう。人を追加しても急に生産性が上がるわけではありませんので、遅れを取り戻すということはそう簡単ではありません。
進捗遅延に対する本質的な対策
本質的な対策としては、進捗遅れが明確になり、お客様へ報告をしなければならない状態になるより前に手を打つ必要があります。
遅延は雪だるま式に増えていきますので、遅延の予兆をいかに早く発見するかがポイントとなります。
進捗報告における問題点
また、慣例的に行われている進捗の報告にも問題があるかと思います。
一般的にITプロジェクトの進捗報告とは「今週は予定通りで全体の25%になりました」というようなものであることが多いのですが、その25%という数字は実はあまり意味をなしていません。明確に進捗を数値化することは難しいのです。何らかの定量化の方法を各社標準化しており、その結果として%の数値を算出することはできます。しかし、機能によっても画面によってもプログラムの規模によっても違いますので、100の機能のうちの25機能が完成したから25%という数字が進捗を正確に表現できているわけではありません。論理的には「PMが一定のルールに則って定量化したら25%であった」としかいえませんし、一定のルールも誰が見ても同じ数値になるような厳密性はありません。したがって、極論は「PMが予定通り25%と報告しているから25%」であって、本当は少し遅延している可能性もあるのです。そしてPMには、できるだけ予定通りに進んでいることを報告したくなる特性があります。
つまり、進捗報告の場で「遅延している」と報告があった時点でリカバリができない状態になっているから報告しているわけで、相当厳しい状況になっている場合がほとんどでしょう。
システム開発に特有の進捗報告
なぜ、このようなPMの特性に依存した報告がまかり通るのでしょうか?
それはソフトウェアとしての独特な特性があるからです。エンジニアが作っている途中のプログラム自体を眺めても、出来ているいのか?出来ていないのか?どのくらい進んでいるのか?が全くわかりません。完成の近くまでプログラムを作り上げないと、実際の作成物のアプリケーションを見ることができないのです。建設現場などモノづくりの現場では実際に作ったものを目で確かめることが容易です。基礎は今月末までにできるという予定に対して、月末に現場にいけば素人でも基礎が予定通り出来ているか出来ていないかわかります。ソフトウェアの世界はこのように目で確かめることが難しいため、PMの文章を信じるしか方法はないのです。
PM任せの進捗報告から脱却するには
しかし、最近のITの進化は早く、最新のアーキテクチャであれば、画面やAPIを開発途中であっても実際に動作させて、ユーザに見せることができるようになってきました。「今月末までに売上明細画面とそこで使われるAPIができる予定」であれば、月末の定例会議において、ブラウザ上で売上明細画面を動かして見ることが出来ます。またそこで使われる売上明細APIにパラメーターを渡すと、どのようなパラメーターが戻されてくるかを見ることができます。画面とAPIが結合していない状態でもそれぞれ見て確認することができます。
NCDCのプロジェクトの進捗報告では何%という報告はしていない場合がほとんどです。その代わりにソフトウェアであっても実際の開発した画面をお見せしたりAPIを動かしてみたりすることで、「予定通りなのか?」「予定通りではないのか?」を明らかにしています。動くものを見ることができるので、PMの一存で遅れていても「予定通り」と報告するようなことは不可能になります。
進捗遅延の早期発見方法
また、本質的な対策としては遅延を早期に発見する、遅延しそうな雰囲気を早期に発見することが大切であることは先に説明しました。ではその予兆はだれが最初に感じることができるでしょうか?
それは現場でコードを書いているエンジニアではないでしょうか。?彼らが一番「予定通りなのか?そうではないのか?」がわかっていますし、先々で遅延を産むようなリスクについても感じているはずです。
そういった現場の感じていることをいち早くPMが認識することができれば遅延の早期発見、未然の予防というものができる確率が高くなります。
NCDCでは実際に作ったものを見せる進捗報告と合わせて、現場の意見や思いを毎週収集するアンケートを取得して、その結果からの対策も取るようにしています。そして毎週のアンケートをGoogleフォームなどで取るだけでは、アンケート結果の一覧性やその後の対策などの可視性が悪いため、専用のSaaSを開発し、自社で使用しています。
NCDCのノウハウを製品化したSaaS PJ Insightです。
進捗遅延を防ぐことに役立つSaaS
PJ Insightは、従来の進捗管理手法では把握が難しかったプロジェクトの品質やコスト、納期などに対するプロジェクトメンバーの意見や状況を可視化します。
毎週1回、メンバーに対してプロジェクトの品質、納期、コストやコミュニケーションなどの項目について、5段階評価で回答するアンケートを実施。その結果は週次レポートとして閲覧、分析が可能なため、手間をかけることなく遅延が発生しそうな雰囲気に最も敏感な現場の声を吸い上げることができます。
進捗遅延の早期発見のために、このようなSaaSを活用することもおすすめです。30日間の無料トライアルをご用意しています。
実際の開発物を見ながらの進捗報告、そして現場で感じられているリスクに関するいち早い把握をぜひ組み合わせて、品質の高いプロジェクト運営を行ってみてください。