システム開発を伴うDXプロジェクトの管理は非常に困難です。そのため世界中でプラクティスが公開されていたり、様々なSaaSやアプリケーションなどのツール類が開発されたりしています。
そんな中で本コラムではプロジェクトマネジメントに必須の
- 進捗管理
- コスト管理
- 品質管理
について、それらをサポートするツールを三種の神器として紹介したいと思います。
生産性向上に繋がる進捗管理ツールの選び方
では最初に進捗管理から説明していきましょう。
プロジェクト管理において、最も基本的かつ重要なタスクが進捗管理でしょう。進捗管理をどのようなツールで行うかはプロジェクトマネージャーの生産性やプロジェクト全体の運営、クライアントワークであればお客様への説明などに大きく影響を与えます。
進捗管理ツールとして必要な要素をしては
- タスクの定義(タスクの開始・終了日、担当者)
- タスクの親子関係の定義
- タスクの依存関係の定義(設計が終わってから実装を行う等)
- 予実の可視化
あたりが挙げられるかと思います。タスクはWBSの構成単位と同一として考えてもよいでしょう。
プロジェクトのタスク管理ツールで代表的なものとして、Asana、Wrike、Jira、国産のBacklogなどがあります。筆者が各ツールを試してみた感じではどのツールも「予実の可視化」がやりにくい印象です。プロジェクト管理の観点ではベースライン、初期のスケジュールからどのくらい変化したのかを迅速に見られるようにしておきたいはずです。しかし、これらのツールはアジャイルへの対応が前提となっており、アジャイルでは「予定は変化する」ことが前提となっているため、当初のスケジュールを定義して固定しておく機能が付いていないのです。タスクが当初予定より伸びたとしてもそれを受け入れ、次のタスクを考え直すという思想に基づいているためかと思います。
しかし、実際のプロジェクトを管理していく立場ではやはり「当初はどうだったのか?」は知りたいですよね?自社でエクセルを活用したテンプレートを作成し、所有している企業も多いと思います。多くの社員を有する企業ではサブスク費用も高額になりがちという点もありますが、「予実の可視化」がやりにくくてSaaSプロダクトを使っていないということもあるのではないでしょうか?
企業成長に寄与するコスト管理
こちらはプロジェクト原価管理と言われている分野のツールを選定することになります。プロジェクトの収支を見える化し、収支を良い状態にしていくことはSI企業やコンサルティング企業にとって企業成長の源泉となりますので、プロジェクトマネージャーの非常に重要なタスクになります。
管理したい要素としては
- プロジェクト売上
- プロジェクトの外注費、社員の稼働費
- プロジェクトの出張費等の経費
これら、プロジェクトコスト管理を行うツールとして、ERPを利用している場合が多いかと思います。ERPにおける売上管理、原価管理の機能からダッシュボードなどでプロジェクト別での収支を表示するといった使い方をしているのではないでしょうか。
品質向上に役立つ品質管理ツールの選び方
DX及びITのプロジェクトの品質管理はカバー範囲が広いです。コード品質を高めていくためにはレビューが必要ですので、その点ではGithubなどのコード管理から一連のレビューなどを行うことがきるツールがメジャーでしょう。テストの管理の観点ではTestRailやQTestといった専用のツールも存在します。またプログラムができた後のテストの自動化からデプロイまでの品質管理としてCI/IDをサポートするツールにはCircleCIやGitHub Actionsなど数多くのツールがあります。
こういったツールを組み合わせて品質を高めていくことは必須です。しかしこれだけでは高い品質のプログラムが出来上がらないことに私達は着目しています。プログラムを作るのは「人」ですので、「人」が何を考え、何に困っているかを可視化し、改善をしていくことが品質管理の観点から最も重要だと考えています。そのためのツールが「PJ Insight」です。
品質管理に役立つ「PJ Insight」
PJ Insight は、プロジェクトメンバーに毎週アンケートを送信し、プロジェクト状況を回答してもらうことでメンバーの本音を可視化します。
プロジェクトマネージャーは各メンバーのアンケートや本記事で紹介しているツールを確認、分析することで課題を早期に発見して行動を起こすことが可能になり、同時に部門長などに状況をタイムリーに報告することができるようになります。
プロジェクトを担っているメンバー各人の考えをヒアリングし、そして報告するというPDCAを短いスパンで回していくことで品質管理をサポートします。