はじめに
PJ Insightチームの山本です。プロジェクト内のメンバーの不安や本音を可視化するツールのPJ Insightですが、「実際の業務の中に取り入れている事例を知りたい」という声が多く届いております。
そこで、皆さまがPJ Insightを活用する際の一つの参考になればという思いで、弊社でのアンケート収集から、メンバーへのヒアリング、組織部門長への報告までといったPJ Insightを使用した流れを定常業務に組み込んだ事例をご紹介いたします。
業務に組み込んで定常的に使用する
弊社では毎週月曜日の午前9時に週次会議を、午後5時に全プロジェクトのプロジェクトマネージャー(以下、PMとする)とプロジェクトマネジメントオーナーや部門長(以下、PMOとする)を集めたプロジェクトマネージメント会議を行なっています。そこで、この二つの会議に合うようにPJ Insightのアンケート送信を設定し、PJ Insightを定常業務に組み込むための取り組みを行なっています。
具体的には毎週月曜日の午前8時に、プロジェクトに所属する全社員へアンケートを送信しています。そのあと午前9時から始まる週次会議の中で、アンケートの回答結果や内容を全社員で確認します。また午後5時から始まるPM・PMOの定例会議では、前週にPMが送信したレポートの内容を会議に参加している全てのPMとPMOで確認しています。
月曜日のスケジュール
1週間のスケジュール
既存の定例会議に組み込むメリット
弊社が定常業務としてPJ Insightに取り組んでいるのは、前述した毎週月曜日の定例会議のみとなっております。PJ Insightをこのように活用しようと至った理由は、プロジェクトリスクは経営リスクでもあり、アンケートに回答するだけでなく、しっかりと業務の中に落とし込むためです。また、継続的に実施することが大切だと考えていて、毎週の取り組みを継続するためにもリアルな場で議論することにしました。また、回答内容の確認に対する心理的負担を減らすために、PJ Insightの確認という新規会議を作成せず、既存の定例会議の中の数分を使用する方針をとっています。
以上の方法を取ることによって、アンケート未回答の人にリアルタイムでアンケートの回答を促せ、更新された回答内容をすぐに確認できるようになります。また、PMやPMOはプロジェクトに対する本音や不安の詳細確認を会議の場で実施でき、そして、前の週で発生した困り事や不安に対する対処法を全PM、PMOで共有できるため、その後1週間のプロジェクト計画や対処法を考える時間が生まれます。このように、PJ Insightを定常業務に組み込むことで、問題や不安に適切に対処する方法を全プロジェクト共通で取る事ができます。
次からは、PJ Insightに関する業務で特に気をつけている点を紹介していきます。
アンケートの収集
弊社ではアンケート送信日を毎週月曜日の午前8時と設定しているため、アンケートの回答終了日は48時間後の水曜日午前8時までとなっています。
アンケートの質問内容は組織全体で統一して設定できるため、QCDに値する品質、納期、コストに、プロジェクト進行で重要になる雰囲気、労務の2つを追加した計5項目としています。これらの項目に対し、メンバーに5段階評価、または、わからないで答えてもらいます。
弊社ではメンバーに評価をつける基準を共有しており、「プロジェクトの状況が先週より悪くなった」と感じた場合には評価1または2を、「プロジェクト状況が先週より改善した、先行きが見えるようになった」と感じた場合には評価4または5を、「プロジェクト状況は先週と変わらないが問題なく進行している」と感じた場合には評価3をつけてもらうようにしています。
もちろん、メンバーの職種や職歴によっては品質に対する知見がなかったり、プロジェクト全体に対するコスト感を把握できていなかったりする場合もあるので、全ての項目に評価をつけることは強要せずに、わからないものはわからないで送信してもらうようにしています。以上のような評価項目の判断基準の統一によって、5段階評価で回答する際の負担を減らし、毎週のアンケート回答に対して少ない労力で、また、心理的負担を極力減らした回答を促すことができています。
PJ Insightを用いた確認、メンバーへのヒアリング
週次定例会議で主に確認しているPJ Insightの内容は、平均評価が3を切っているプロジェクトはないか、気になるコメントがついているプロジェクトがないかという2点のみです。
この2点のどちらか、または、両方に当てはまるプロジェクトが存在した場合には、プロジェクト詳細を閲覧し、評価2がついている項目の確認や、コメントの記入内容を確認しています。
ここで気にしなければならないのは、定例の全員参加の会議で聞いているがために評価1や2をつけている人のコメント内容を晒し上げにならないように注意して扱うことです。また、評価1や2をつけることは少なからず勇気がいることなので、相手に尊敬の心を持ちながら聞き方に気をつけて理由を尋ねることです。
悪い評価をつけている人がいない、すなわち全てのプロジェクトが平均評価3以上である場合は、現在のプロジェクトに対して不安感がないということの表れです。そのため、プロジェクトの悪い点や不安な点をメンバーから無理に引き出そうとせずに、このままプロジェクト運営を続けるべきだという点にも注意が必要です。
PMから組織部門長への報告
全PMとPMOを集めた週次会議では、前週に提出されたレポートの内容を主に確認しています。
それぞれのプロジェクトが現在どういう状況にあるのか、アンケートで明らかになった課題や不安点とその対応策は何か、プロジェクト運営をする上で困り事はないか、などを確認します。
プロジェクト内のみで対策を取れる場合もあれば、新たに人員を増やしたい、予算を確保したい、兼任している他プロジェクトとの工数を調整したい、などの場合も存在します。そのため、PMとPMO全員で話し合うことで相互にプロジェクトのリソースを助け合ったり、プロジェクト運営に対する現状の悩みを共有し、他プロジェクトのPMやPMOから第三者視点でプロジェクトの改善計画案を聞いたりして課題解決に繋げる事ができます。
月曜の朝に行う週次会議では、不安視しているメンバーからいかに適切に意見を収集する事ができるかという点に注力していますが、ここでのPM・PMO会議ではPMが現在プロジェクトに対してどういう考えや計画を持っているか、PMから見た不安や悩み事がないかなどを重点的に共有するようにしています。
レポートの記入と設問項目
弊社では、レポートの設問項目を3つに設定しています。アンケート結果を踏まえた上でPMが把握している問題や、そもそもPMが不安視していた「プロジェクトが抱える問題・リスク」を記入する項目、それらの問題や不安に対する対応策や今後の計画、考えを共有する「問題・リスクに対する対応策」を記入する項目、そして、その他共有事項や懸念事項があった場合の内容を共有する「その他」を設問の入力欄として設定しています。
また、レポートの送信依頼メールがアンケートの収集完了後に送信されるため、PMはメールからの通知によってレポートを忘れずに記入することができます。現在、PJ InsightではSlackへの連携通知機能を開発中です。そのため、今後はSlackの通知からレポートの記入を忘れずに行えるようになります。
おわりに
PJ Insightを定常業務に組み込む方法として、弊社で試行錯誤しながらもたどり着いた一つの事例をご紹介しました。弊社での活用事例が、PJ Insightを活用する際の何かの参考になれば良いなと感じておりますので、ぜひ真似して活用できそうなところは真似していただければと感じております。
また、本記事で紹介した方法以外にも、PJ Insightはさまざまな方法で活用可能だと思いますので、ぜひ皆さんも自身の業務や組織に合った方法で活用してみてください。弊社でも常により良い活用方法がないかを模索していますので、今後も活用事例が更新されるたびに記事に紹介していこうと考えております。
同時に、我々も他組織のPJ Insight活用事例をより多く知りたいと考えておりますので、組織に適した活用事例や定常業務に組み込んだ方法などがございましたらぜひ教えていただけると幸いです。
これからもPJ Insightはアップデートを続けていきますので、今後長らくのご活用をよろしくお願いいたします。